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子どもにワクワクや楽しさ、悲しさ、教訓などを教えてくれる絵本。大人になって読んでみると、また違った印象を受けることもあるかもしれません。夜眠る前に、雨降りの日に、もちろん晴れの日だって、絵本を読む時間は、きっと貴重な時間となることでしょう。

というわけで、大人も子どもも楽しめる絵本の紹介をしていきたいと思います。
第20回は、ジーン・ジオン作、マーガレット・ブロイ・グレアム絵、わたなべしげお訳「どろんこハリー」です。

1964年初版の絵本です。

ストーリーはこんな風。

ハリーは黒いぶちのある白い犬。そして、おふろが大嫌い。
ある日、おふろにお湯を入れる音が聞こえたハリーは、体を洗うブラシを裏庭に埋めて、外に逃げ出しました。

工事現場や線路の橋の上で遊んだり、野原でほかの犬と鬼ごっこをしたり、石炭トラックのすべり台を滑ったりして、汚れたハリーは、黒いぶちのある白い犬から、白いぶちのある黒い犬になってしまいました。

おうちに帰ってきたけれど、家族に、自分がハリーだとわかってもらえず、色々な芸をしてみるけれど、それでも、家族は気がつきません。

「そうだ、おふろで洗ってもらおう!」綺麗になったハリーは、家族に気づいてもらうことができ、そして、おうちって、いいなと思いながら、眠りにつくのでした。

何しろ素朴な絵が可愛いのです。いつものハリーとどろんこになったハリーの表紙も印象的。緑、黄色、黒、白という、決して多くはない色の世界で、ハリーが走り回ります。

そして海外の街並みなどを垣間見ることができて、もう50年も前に、初めて出版された本だというのに、そんなに古さを感じないのも不思議です。

ハリーはお風呂が嫌いなので、おうちを抜け出し街を冒険します。行く場所行く場所で、すすで汚れたり、どろんこになったりするのですが、こういう経験も楽しいもの。子どもたちは自分の姿に重ねて楽しめますし、大人も自由に駆け回る時間を思い出したり、時にはこんな風に楽しんでもいいかも、と思わせてくれます。

だけどやっぱり、おうちや家族もいいものですよね。最初は白の黒ぶちだったのに、汚れて黒の白ぶちに変身してしまったハリーを誰も気がついてくれないから、自分からお風呂に行って、洗ってもらう。そしてさっぱりしたハリーは、自分のおうちっていいな、なんて素敵な気持ちなんだろう、と安心して眠りに落ちるのです。その安心しきった顔はこちらもなんだかホッとしてしまいます。

大好きな安心できる場所があるからこそ、冒険を楽しむことができるんですよね。なんだかおうちでゆっくりお風呂に入って、ぽかぽかの陽だまりの中で、お昼寝したくなるような1冊です。

(福音館書店)
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