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口に入れたときのハイな気分、収集欲をかき立てるパッケージ、なんだったらメッセージ性。連載「スナック・タイム」では、文筆家・甲斐みのりさんが、男の空腹を満たすためだけではない「嗜好品」としての食べものを紹介。第3回は、「八雲製菓」のウイスキーボンボン。

ウイスキーボンボンは、甘い砂糖製の殻やビターなチョコレートで、とろんと芳醇な洋酒を包み込んだ不思議なお菓子。言葉の響きもきらびやかな見た目も、どことなくセピア色のフィルターをまとったような昭和の香りが漂う。

本来ならば甘いものと縁遠いような落ち着いた紳士と相性よく思えるのは、内に秘めたるウイスキーのためだろうか。少女時代、バレンタインに父がもらってきたウイスキー入りのチョコレートを、こっそりほんの少しだけカリッと口に含んだことがあったけれど、甘くて苦くてツンと鼻の奥をくすぐり、子どもの私にはあまりに難解な味がした。

お菓子界で、不思議に威厳を放つのは

お菓子界で不思議に威厳を放つウイスキーボンボンも、最近では身近なところで目にする機会は少ない。それだからなおさら日常の中でふと出合うと、妙に気になり手に取らずにいられない。

華やかで色っぽい。ヤグモのボンボン

山梨県に所在する「」のを見つけたのは、静岡市にある駄菓子問屋。私が子どもだった30年前から変わらずあった懐かしい駄菓子たちの中、ことさら華やかで色っぽい輝きを放っていた。

。コロンとまるい色鮮やかな粒。そのまま食べても、冷蔵庫で冷やしても。砂糖代わりに紅茶やコーヒーに沈めれば、ほんのりふくよかなウイスキーが香り、まろやかな味わいに。

それから、ウイスキーやフルーツに添えても。ウイスキーボンボン一つで、昭和の時代の渋い映画に、もぐりこんだような気がしてくる。

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