髙阪正洋

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10年という月日が経つと、いま住んでいる部屋も、立場や環境も大きく変わってきます。

ただ、たとえ環境が変わっても「これだけはずっと持っていたい」というモノが、ひとつはあるもの……。

なぜ、「10年後も持っている」と考えるのか―――。大切に持ち続けるモノについて語る姿から、その人の暮らしが徐々に見えてきます。

スノーピーク 代表取締役副社長 CDO 山井梨沙

1987年、新潟県生まれ。スノーピーク創業者の山井幸雄を祖父に、現代表取締役社長である山井太を父に持つ。

2014年にスノーピーク アパレルを立ち上げ、「HOME⇄TENT」をコンセプトに日常とアウトドアとの境界線のない「生き方にいちばん似合う服」を発信。

2018年新たにスタートした「LOCAL WEAR」プロジェクトでは、日本各地の着る文化に光をあて、いまを生きるひとびとにつなぎ、着ることで、その土地の物語になる服づくりを行う。

10年後も手放さないモノ

柳宗理のカトラリー

実家では、柳宗理さんのカトラリーが使われています。私が生まれたときにはあったから、もう30年以上

食器って、一番後回しになりがちじゃないですか。

ひとり暮らしを始めてからずっと安い適当なモノを使っていたから、もちろん愛着なんて持てなかった。

でもあるとき、「実家で使ってるあのカトラリーって、結局、30年間ずっと変わらないな」って気づいたんです。

それで、引っ越しのタイミングで、持っていた食器を全部捨てて柳宗理さんのものに買い替えました

生まれたときからずっと使ってきたものだけに、やっぱり、手に馴染む。

柄の長さだったり、厚みだったり、機能的に考えられているからこその収まりやすさを感じるし、それだけ完成された形なんだと思います。

個人的には高級レストランで使われるようなギラついたものってしっくり来なくて。

でも、柳宗理さんのつくるプロダクトは庶民的なのにどこか洗練されている。

生活から生まれた道具だということが伝わってくるんです。

特別な週イチのためのカップ

こっちは、ちょうど1年前くらいに買った、さんの作品です。

アムステルダムで日本のクラフトデザインフェアに出展したとき、そこに同じく出展していた方から買ったもので。

見た瞬間、これは絶対持って帰りたいと感じました。

私はとにかく朝が弱いので、ゆっくり過ごせる週末が好きなんです。

いつも昼前くらいに起きて自分でコーヒーを淹れて、このカップでゆったりと飲んでから出かける。それが毎週末のルーティンになっています。

平日は時間がなく、出張で家を空けていることも多いので、とにかく家にいるときくらいは、長く使える特別なもので食事をしたいんです。

モノを使うひとに「押し付けない」

普段、あまり作家モノって買わないんです。民藝とか、その土地に根付いたものが好きだから。

でも、これは焼き物ということもあってか、小野さんが暮らしている自然豊かなその場所の風土を一瞬で連想させられた。

調べてみると、「使うひとの生活を励ます」モノをつくっていることがわかって、そこにも共感を覚えました。

スノーピークのプロダクトは自然環境で使うモノなので、撥水性があるとか、洗濯できるとか、基本的な機能が備わっていて。

それは接客のときにも明確に示しています。ただ、“裏テーマ”のようなものがそれぞれのプロダクトにはあって。

例えば、定番のは、実は着たまま寝られて家でパジャマとしても使える、とか。

でも、そういった想いは、わざわざこちらから押し付ける物ではないと思うんですね。

使い手の生活にフィットして、自然と実感するというプロセスがすごく大事だから……。

私も、コーヒーを飲むために平日は頑張って働いて、その分、休日はこのカップを使ってゆっくり特別な時間を過ごす。

そういうときに、モノが生活を豊かにしてくれていると感じるんです。

後編はこちらからどうぞ。

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Edited by Kakeru Noda

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髙阪正洋

ファッション、ライフスタイルまわりで、編集・ライターのいろはを学び、ひた走る日々。いつの日かOferte-noi.infoアイス部員に抜擢されんと、就寝前のアイスが20年以上やめられないでいることをココにしかと明言しておく。

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